Top Page



 理事長プロフィール





Our Policy


■ 人権財団創立にあたって


■ 国家とは何か


■ 国家とは何か A


■ もう一つの「国連」の創出を


■ 国境を越えた民衆法廷運動へ


■ 所得の再分配より「資産の再分配」を


■ 崩壊する世界経済の再生に向けて


■ 「貧困根絶宣言」に向けて


■ 「貧困根絶宣言」に向けて A


■ 憲法に均衡財政条項の明文化を


■ 国家財政を主権者たる国民の手に


■ 抜本的な司法改革に向けて


■ 冤罪を生まない社会の実現を






FMラジオ番組
「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













「貧困根絶宣言」に向けて A

─── ベーシック・インカムの世界的潮流 ───

[2015.3.20]



ベーシック・インカムに取り組んでいる国々


 前回、ベーシック・インカムについての私の提言の概略を述べましたが、世界に目を向ければ、未だ完全な形ではなくても、ベーシック・インカムに向けて取り組んでいる国々があります。

 ブラジルでは、2003年に政権に就いた労働者党のシルヴァ大統領が、ベーシック・インカムを法制化し、約10年前から完全実施を目指して段階的に現金給付を始めています。

 参考までに、下記に同法の訳文を掲載します。なお、「市民基本所得」とあるのは、ベーシック・インカムのことです。

 
市民基本所得法
(2004年法律第10835号)

私共和国大統領は、国会が次の法律を制定し、これを承認することを、ここに公示する。

第1条  市民基本所得は、2005年から施行することとする。この制度は、国内に居住する全ての国民及び最低5年以上国内に居住している全ての外国人が、その社会経済的状況に関わらず、毎年金銭的給付を受領することができる権利によって構成されるものとする。

1. 本条冒頭文の規定の適用に当たっては、行政府の裁量により、より貧困度の高い階層の住民を優先しつつ、段階的に達成されなければならない。

2. 給付の支給は、全ての者に同等な額で実施されなければならないこととする。又、国家の発展程度及び予算上の支出可能性を検討した上で各人の食糧、教育及び健康維持に要する最低限の支出額に対して十分な額でなければならない。

3. 給付の支給は、同額に分割し、月毎に行うことができる。

4. 本条冒頭文の金銭的給付は、個人所得税の課税目的においては、非課税所得とみなされる。

第2条  給付の支給額の決定は、財政責任法(2000年5月4日補足法第101号)第16条及び第17条の規定の厳守のもと、行政府の裁量で行われることとする。

第3条  行政府は、前条の規定を遵守しつつ、本計画の第一段階の実施の為に十分な予算措置を2005会計年度連邦予算に計上することとする。

第4条  2005会計年度以降は、複数年次計画及び予算指針関連法案内においても、この計画の実施のために必要と認められる諸措置における扱い同様に、支出の取消や移転支出について指定しなければならない。

第5条  この法律は、公布の日から施行する。


2004年1月8日

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ



 ブラジル労働者党政権は、ベーシック・インカムを法制化する一方で、公務員年金改革で財政支出を大幅に削減するなど、大規模な財政再建政策を断行し、その結果、ブラジルは2009年には債権国へと転化しています。ワールドカップやオリンピックの開催も、こうした財政政策に対する評価と考えられますので、我が国の政府もブラジルから大いに学ぶべきでしょう。

 また、スイスでもベーシック・インカムをめぐる動きがここ数年盛り上がっています。

 スイスの場合、一般市民でも一定期間内に約10万人の署名を集めて連邦議会に提出すれば、憲法改正の国民投票にかけることができます。

 スイスでは市民団体を中心に、2012年頃からベーシック・インカムの導入を憲法の条文に加えるよう求める署名活動が展開され、その結果、約12万人の署名が集まり、2013年にスイス連邦議会に提出されました。


 このような世界的潮流を見れば、「ベーシック・インカム」は決して非現実的な政策ではなく、極めて現実的で実現可能なテーマであることが分かります。



特別会計を全廃すれば即時可能


 前回、ベーシック・インカムの財源案について、「定率所得税案」や「累進課税案」あるいは「相続税100パーセント案」などを紹介しましたが、これらはどこの国でも適用可能な普遍的な方法と言えるでしょう。

 一方、我が国には、今すぐにでもベーシック・インカムの実行が可能となる特殊な事情が存在します。

 国会で使い道が審議される一般会計とは別に、官庁には「特別会計」という独立した会計があります。

  この特別会計は、憲法第83条に規定された「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」という財政民主主義の原則に違反し、国会での審議も為されず、国民への説明責任も果たさないまま、素通りさせられてきたのであります。

 特別会計のトンネルをくぐった公共事業費、社会保障費などは、大部分が補助金の形で地方公共団体や特殊法人、公益法人などを通して業者へと流れていき、国民の血税は国の為に使われることなく、一部の特権層の金庫の中へと消えてゆくのが現在の実態です。

 このブラックボックス化された特別会計は、年間270兆円を上回ると言われています。

 そもそも特別会計は「違憲」なのですから、全廃を前提にした議論を進めるべきであります。

 他の国々はどうあれ、少なくとも我が国の場合は、特別会計を無条件に全廃することによって、全国民にベーシック・インカムを支給する財源を直ちに確保することが可能となります。しかもこの場合は、国民への負担をゼロに出来ます。

 上に述べたブラジルも、未だ「全国民への一律支給」という段階までは実現に至っていません。また、スイスの国民投票も延期に次ぐ延期で、一体いつのことになるのか分かりません。

 我が国が全世界に先駆けて、真のベーシック・インカムを実現させる事は、十分に可能であります。






《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




 定款(PDFファイル)




《連絡先

一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
十全ビル 306号
TEL: 03-5501-3413


静岡事務所
〒420-0853
静岡市葵区追手町 1-19
天松追手町ビル2F
TEL: 054-205-6155
FAX: 054-205-6156