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FMラジオ番組
「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













崩壊する世界経済の再生に向けて

[2015.2.5]



資産への累進課税を


 フランスの経済学者・トマ・ピケティ教授の『21世紀の資本』が欧米諸国で数十万部もの売れ行きを示し、我が国でも翻訳本が発行されるや、ベストセラーとなっている。

 世界中の多くの人々が現在の資本主義システムに疑問を持ち、処方箋を模索している様子が見てとれる。

 700ページを超える大作であるが、ピケティが述べている内容は単純明快である。

 すなわち、資本主義社会には常に「資本収益率 > 経済成長率」の不等式が成立するというものである。

 簡単に言うと、株や債券や不動産等によって得られる不労所得の社会全体における伸び率は、労働によって得られる給与所得の社会全体における伸び率を常に上回る、というものである。

 従って、資本主義経済は放置しておけば、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなり、中間層は消滅し、格差は拡大する一方となる。「トリクルダウン」といった現象は生じ得ない。

 こうした格差拡大を是正する為には、国家による累進課税が必要であり、その際には所得に課税するだけでなく、資産にも課税すべきである、とピケティは提案している。

 このトマ・ピケティの理論が現在、世界中で脚光を浴びているが、「資産への累進課税による格差是正」という主張は、私がかなり以前から当HPで唱えてきた内容でもある。

 時代がようやく私に追いついてきた、との感慨は否めない。

 そこで今回は、さらに突っ込んで経済というものを根本的に見直してみたいと思う。


前期的資本の過大評価は有害

 そもそも経済活動とは、社会全体の「富」を増やし続ける営みである。

 経済学では、富とは「商品の集積」をいう。

 人間社会が存在する限り、社会に富は必要である。

 そのため、経済活動は半永久的で永続的な活動であらねばならない。

 社会の富を増やす事が経済活動であるとすれば、経済活動の名に値するのは第一次産業と第二次産業のみである。

 流通業や金融業に代表される第三次産業は、富を単に移転させるだけであり、社会全体の富の増加には貢献しない。

 流通業は「物」を移動させているだけであるから、いくら流通が盛んになっても、社会全体の「物」の総量は変化しない。

 また金融業は「カネ」を移動させているだけであるから、社会全体の「カネ」の総量は変化しない。その際、狡猾にも「利子」などの詐欺的トリックを用いて「額面」が増えたように見せかけるため、人はそれで豊かになった気になってしまうが、その分だけ通貨の価値が下落しているため、富が増えたわけではないのである。

 なお、第一次産業が中心の時代は農業社会、第二次産業が中心の時代は工業社会で、今は第三次産業が中心の情報社会だと思い込んでいる人は多い。

 しかし、第三次産業と呼ばれる流通業や金融業などは、人類の古代社会から存在したもので、マックス・ヴェーバーの定義では「前期的資本」と呼ばれる。

 流通や金融などといった分野は、資本主義的資本が成立する以前の、前近代的な経済活動に他ならないのである。

 いくら国が第三次産業にテコ入れしたところで、資本主義の発展に結びつかないのは、このためである。


資本主義の真の再建を

 私達は現在のところ、資本主義以上の優れた経済システムを持ち得ない。

 国家総動員体制下の日本や北朝鮮のような配給経済や物々交換経済などは最悪の経済システムである。

 ならば、資本主義において生じる様々な矛盾も素直に受け入れた上で、万人が幸福になる方策を考えるしかないのである。

 資本主義的資本とは、一言で言うなら「剰余価値を創出する資本」である。

 この剰余価値の概念は、かつてマルクスらによって悪の代名詞とされ、「資本家による労働力の搾取」の象徴として攻撃のターゲットにされてきたが、実際はこの剰余価値がなければ資本主義そのものが成り立たず、資本主義社会は崩壊してしまうことになるのである。

 利益以上に人件費を支出していれば、必ず企業は倒産する。

 これが社会全体に普遍化すれば、資本主義社会が崩壊する。

 剰余価値の創出によってしか資本主義が成り立たないのであれば、その現実をありのままに受け入れなければならない。

 際限なき賃金の引き上げは、必然的に資本主義の崩壊につながる。

 今日、我が国の経済が破綻しつつある真の要因は、高騰する人件費による経営圧迫にある。


資本主義再建の鍵としての
ベーシック・インカム


 私は、トマ・ピケティの案では、資本主義の根本的解決にはならないと考える。

 世界的に崩壊しつつある資本主義を立て直し、同時に貧富の格差をも是正しようとするならば、まずは「国家も働け」と言いたい。

 敗戦後のGHQの占領統治により強化された官僚制によって、日本国は「官僚の官僚による官僚の為の国家」へと変貌した。

「官僚の官僚による官僚の為の国家」は、有事に際しては国民を見捨てる国家と考えて間違いない。


 我が国のような島国の場合、紛争等で周辺が危険水域になれば、民間の輸送船は保険が掛けられない為に、食料も原油も一切入って来なくなる。

 食料自給率が4割を切っているこの国には、餓死者が続出するであろう。

 餓死者達も、決して静かに死んでいくわけではない。

 ガダルカナル島の日本軍のように、戦友を殺して食べるような事が、日本列島全体において日常茶飯事になるであろう。

 独立してから60年、誰もが予測可能な事態にもかかわらず、国家は何もしようとしなかった。

 少しでも国民の為を思うのであれば、まずは最低限でも食料について自給自足が可能な国家を目指すべきである。

 ほぼ百パーセントを輸入に頼っている小麦や大豆を国家が国有地で生産すれば、自営農家とは競合しないので、国が民間の仕事を奪うといった心配は無い。

 また、一過性の単発の公共事業とは異なり、農業という永続的な生産活動であれば、継続的に社会に富をもたらすことになる。


 こうして国家により新たに生産された富に見合った紙幣を国家が供給するならば、通貨の価値を落とすこともなく、インフレをもたらす心配もなくなる。

 国家が自らの手で生産した(農産物という)富と交換可能な紙幣は、最も信用できる「カネ」である。

 国家は、毎年これを全国民に均等に配れば良い。永続的に紙幣を国民に配るのである。

 このように国家が国民に最低限の生活を保証すれば、資本家は労働者の生活を保証する義務から解放される。

 かくして社員の生活の面倒を見なくても良くなった企業は、より多くの社員を雇うことも可能となる。

 また、商品開発にあたっては基礎研究から始める事さえ可能となる。

 労働集約型の生産方式が全国的に復活し、資本主義は再びよみがえることになる。

 資本主義が蘇生すれば、富める人々が眠らせていた資本も新たに投下され、社会に還流することになる。

 遊ばせていた土地には工場が建ち、放置されていた証券類は担保となり新事業への投資が行われる。

 もし富める者が資産を眠らせ続ける場合は、国家が没収すれば良い。

 かくの如く、資産に対する累進課税は、ベーシック・インカムとワンセットで実施された時に、最も効力を発揮するであろう。









《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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《連絡先

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