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新自由主義経済の崩壊
サブプライムローン破綻を契機とした世界経済破綻
日経平均株価は、11月12日、1年4カ月ぶりに1万5千円を割り込み、同日、米国のNYダウ平均も1万3千ドルを割り込んだ。アジア市場も軒並み下落し、世界経済は凋落傾向を示しつつある。
この世界経済破綻の発端は、米国における米低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの破綻である。サブプライムローンの焦げ付きの増加に伴って米金融大手などの損失が拡大し、経済の先行きへの不安が根強くなっている。
このように、アメリカの住宅ローンの焦げ付きが、日本を含めて世界中に大きな影を落としている。それは、単に金融機関の問題に留まらない。
株安も原油高もみんなこのサブプライム問題が影響している。
何でも市場が解決してくれるという市場原理主義や新自由主義に基づく経済は、実体経済からかけ離れた金融商品を次々と作り出し、さらにそれらに群がる拝金主義者達を産み出してきた。そしてサブプライム関連の金融派生商品に多くの資金を投入した人々は大損害を被った。
日本でも、野村證券や新生銀行がサブプライム破綻の余波を受けて赤字に転落した。
そして米国では、誰でも家が持てるという甘言に乗せられた低所得層の多くの人々がローン地獄に苦しみ、今や米国内での最大の社会問題となっている。
低所得者向け住宅ローン、すなわち通常のローンが組めない信用力の低い人たち向けの住宅ローンということは、当然リスクが高くなるので金利が高い。当然、そのまま売ればローンが組めず住宅は売れなくなる。そこで住宅業者は、購入時から2年間は金利を低く据え置き、返済額を抑えて顧客に返済プランを提示する。その分、3年後からは返済額は急激に増えていくことになるが、そうしたリスクについては顧客に十分認識させないまま契約書にサインさせる。
かくして、信用力の低い低所得層の人々も住宅が持て、住宅メーカーや不動産屋、ローン会社、そのローンを小口債券にして金融商品を作った金融機関、それら金融商品が大量に流通する債券市場、みんな良い事ずくめのはずだと思われた。しかしながらこの仕組みは、無限連鎖講を複雑にしたようなものであって、いずれは破綻する構図であった。
そもそも、住宅価格の上昇が、未来永劫続くわけがないのである。この循環も住宅価格の上昇が止まったら、あっという間に金融市場にばらまかれていた債権は、不良債権化してしまうのである。金融機関は、ハイリスク債権であるサブプライム債権を、他の債権にくっつけて、リスクごとに細分化して別の金融商品を創りだして市場取引をする。ハイリスクだがハイリターンなので投資家は投機に走る。しかし焦げ付きが発生し循環がストップすると、多額の損失となって跳ね返ってくる。金融機関が自ら首を絞める状況となるのである。
かくして、シティーが1兆円、野村が1,000億円もの損失を被るようになった。しかもこれは氷山の一角なのだ。
このサブプライムローンで住宅を購入した人たちが、多額の借金苦に追いつめられてしまっている。住宅を手放さなくてはならない人たちも多い。また、借金を抱えてホームレスになってしまう人もいる。住宅業者の甘い言葉にのせられ、夢のマイホームを手に入れたのは良いが、買うときに提示されたローン計画は杜撰な代物である。住宅価格が上昇し続けていた間は、住宅を転売して借金を返済するという手もあったが、供給過剰となって売り圧力が強くなれば、価格は一気に下落し、ローンが焦げ付いてしまうのである。
このサブプライムローンの焦げ付きによる金融機関の損失額の実態がどのくらいになるのかは、未だに不明である。
米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、サブプライムローンの焦げ付きで、金融機関などの損失が1500億ドル(約17兆円)に上る可能性があると発表したが、多くの専門家は、その数倍はあると試算している。
90年代には日本の各銀行で不良債権問題が取り沙汰され、次から次へと回収不能な債権が出てくるという底なし沼のような事態に陥り、「失われた10年」と言われる経済低迷が続いたが、今度は米国がそうした状況になりつつある。
日本でも、野村證券や新生銀行のように損失が明らかになっている企業は氷山の一角である。大抵の企業はサブフライム破綻による損失を隠蔽するであろうし、自らあえて公表しなくても偽装問題にはならない為、実態は未だ不明のままである(いずれぞろぞろと出てくることは間違いないのであるが)。
世界中に波及しているこの米国発のサブプライムショックは、一向に収まる気配もない。
サブプライムローンの焦げ付きの根本要因は解決されておらず、したがって来年以降も焦げ付きが続くからである。今現在抱えているサブプライム関連の不良債権および今後発生する不良債権部分もあり、債券市場での損失は1兆ドル(約110兆円)などという数字も挙がっている。
かくして、大量の資金は債券市場や株式市場から移動せざるを得なくなり、それが原油、金、穀物といった商品先物市場に向かう。そして原油や食料価格が上がり、ドルは下落する。原油や穀物価格が世界的に高騰し、世界的超インフレが始まっているのである。
日本でもすでにガソリンや食料品の値上げなどの形で影響が出ている。やがて消費税も物価高に便乗して上げるようになるだろう。また、日銀は当面利上げを見送る方針だが、物価高がこのまま続くようであれば、利上げに踏み切らざるを得なくなる。
新自由主義の終焉
現在、米国内で民主党が急速に支持者を増加させている最大の要因として、サブプライムローン破綻による経済不安が背景にある。ブッシュ大統領の支持率は30パーセントを割り込んでいる。対テロ政策で強い姿勢を示して国民的支持を得てきたブッシュ政権であったが、経済政策に失敗すれば、どんな政権も維持出来ないのである。
1980年代から米英の経済学界をリードしてきた新自由主義と市場原理主義の原則に基づき、「全ては市場に委ねればうまくいく」といった予定調和的政策を貫いた結果が、この世界的な経済破綻である。市場規模としては1929年の世界恐慌を遙かに上回る、未曾有の世界経済恐慌と言える。
米国は来年の大統領選では民主党が大勝し、保護主義的政策へと転換する事は間違いない。
一刻も早く、新自由主義の呪縛を断ち切らなければならない。またそれが世界の趨勢でもある。
前にも述べたように、英国はすでにサッチャリズムを否定し、新自由主義から脱却している。
かくして2009年には、新自由主義を標榜する国は、世界中で日本だけになってしまうわけだが、果たしてそれでやっていけるのだろうか?
先の参院選では、小泉改革に”NO!”の審判が下ったのである。この総括を為さずして、如何なる政策も法案も無意味である。
小泉改革に”NO!”の審判が下ったという事は、国民は新自由主義を否定したということである。
大連立があり得ないというのは、こうした文脈から必然的帰結なのである。
わが国が、新自由主義に代わる理念に基づいて世界恐慌を克服してゆく為には、民主党が第一党となり、「非自民」による政権を樹立する以外に道は無いのである。
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