【新連載】
北京オリンピックのボイコットを!
第1回 闘う世界の人々
今年の8月に北京五輪が開催される予定であるが、この大会が果たして世界にとって良いものであるのかどうか、皆様と一緒に考えたいと思う。
わが国ではほとんどの政治家やマスコミがまるで朝貢外交のように北京五輪を礼賛しているが、心ある人々は世界中で闘いを続けている。
ローバッカー米下院議員
米国議会では、米カリフォルニア州共和党の下院議員ダナ・ローバッカー(Dana Rohrabacher)氏が中心となり、2007年8月3日、「北京オリンピック・ボイコット決議案」(決議案610号)が下院外交委員会に提出された。
決議案では、中国がスーダン、ミャンマー、北朝鮮など人権を侵害している国との経済関係などを通じ「深刻な人権侵害を支えている」と指摘、中国がこうした国への支援をやめない限り、オリンピックをボイコットするべきだとしている。
また、1936年のナチスドイツでのオリンピックを引き合いに出し、「アメリカが同じような全体主義体制の国の大会を支持することは間違いだ」とした上で、中国を厳しく批判した。
さらに同議員は10月1日議会で演説を行い、決議案への支持を呼びかけた。
同議員は演説で、中国当局は国連のミャンマー軍事政権への非難決議案などに反対し続けたことを挙げ、ミャンマー軍事政権の今回の武力弾圧で、中国当局が陰で本件を操縦している可能性があり、ミャンマーの民主化推進に消極的な役割を果たしているとの見解を述べた。
また、ミャンマー軍事政権に監禁されている民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏と同国民は、国際社会による同軍事政権への強硬姿勢を望んでいると、同議員は強調し、米国は民主化を求めるミャンマー国民への支持と、軍事政権に反対の意向を明確に示すべきと述べ、決議案への支持を訴えた。
同軍事政権の最大の武器供給であり、経済援助国でもある中国当局について、同議員は、北京五輪のボイコットを提唱し、他の議員と共同で関連決議案を議会に提出した。
同議員は、「中国は世界において、人権侵害が最も深刻な国である。中国共産党はミャンマー人への弾圧に関与するだけでなく、自国民、特に宗教信仰者にも深い罪を犯している」と述べ、「中国において、宗教信仰のある人、チベット族や、キリスト教、カトリック教のほか、法輪功団体も迫害を受けている。約数十万人の法輪功修煉者が逮捕・監禁され、多くの人は行方不明になっている」と話し、生きた法輪功修煉者への臓器強制摘出の問題を言及し、カナダの人権弁護士と元国会議員の関連独立調査報告書の証拠を引用した上で、「中国共産党の独裁政権にはオリンピックを主催する資格はまったくない」と北京五輪のボイコットを訴える決議案610号への支持を求めた。

北京五輪ボイコットを訴えるローバッカー下院議員
女優・ミア・ファロー氏
2007年3月28日、ハリウッド女優ミア・ファロー氏は自身の公式ブログにおいて'The Genocide Olympics' (ジェノサイド・オリンピック=大虐殺五輪)と題した記事の中で「悪夢の隠蔽を決して許してはならない」と主張した。
[参照]
'The Genocide Olympics'
http://www.miafarrow.org/ed_032807.html

ハリウッドで北京五輪ボイコット運動の火付け役となったミア・ファロー氏
俳優・リチャード・ギア氏
2007年9月2日、熱心な仏教徒としても知られる俳優リチャード・ギア氏が新作映画の記者会見で、人権問題で中国を追及するため、来年開催される北京五輪へのボイコットを呼び掛けた。
ギア氏は、北京五輪は中国政府がチベットで行っている人権侵害を終わらせ、自治を認めることを促す良い機会であるとコメント。大会のボイコットについて「たぶん現実的ではないが、感情的にはまさに意味のある行為」と述べた。
ギア氏はチベットにおける人権の向上と民主的自由を求める団体「International Campaign for Tibet」の会長を務めており、中国への入国を禁じられている。
[参照]
International Campaign for Tibet
http://www.savetibet.org/index.php

チベット問題でも闘うリチャード・ギア氏
セゴレーヌ・ロワイヤル元仏大統領候補
2007年のフランス大統領選挙におけるテレビ討論において、セゴレーヌ・ロワイヤル候補は中国政府のダルフール紛争への対応を非難し、北京オリンピックのボイコットを呼びかけた。

惜しくもサルコジに敗れたロワイヤル氏
映画監督・スティーヴン・スピルバーグ氏
2008年2月13日、映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏は北京五輪の芸術顧問を退くことを発表した。
2007年4月、同氏は北京五輪の芸術顧問でもあるが胡錦濤国家主席宛に、石油資源確保を目的にダルフール紛争に加担する中国の外交方針を懸念する手紙を送ったことを明らかにしていた。しかし中国は紛争を終結させることなく、外交方針に改善が見られなかった為、同氏は北京五輪の芸術顧問を辞退することになった。

北京五輪の芸術顧問を辞退したスピルバーグ氏
このような激しい五輪反対運動が起こったのは、1980年のモスクワ五輪以来の事である。1979年12月にアフガニスタンを侵略したソ連に抗議し、日本を含む西側諸国は一致してモスクワ五輪をボイコットした。
ただし、モスクワ五輪の時と今回とが大きく異なるのは、当時は各国政府がボイコットを主導したのに対し、今回のボイコット運動はほとんどが民間レベルに留まるものであるという点である。
日本政府はもとより、米国政府ですら、中国に対して遠慮しがちな態度を取り続けている。
これは世界にとって極めて不幸な事だと言わざるを得ない。
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