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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













民族文化抹殺を目指す「モンゴル語狩り」


中国共産党による内モンゴル同化政策


[2020.9.15]




モンゴル文字のスローガンを掲げて抗議する人々
PHOTO(C)REUTERS



内モンゴル自治区におけるモンゴル語教育の禁止


 中国の人権侵害は、チベットやウイグルや香港に対してだけではない。中国共産党による内モンゴル自治区における人権侵害も看過し得ないものがある。

 中国の内モンゴル自治区政府は、今年9月に始まる新年度から小中学校でのモンゴル語による教育を中国語による教育に切り替える事を発表した。

 また8月30日には、 当局がモンゴル語の書籍や文具類を販売禁止にし、「モンゴル語狩り」を本格化させた。

 これは、民族文化の抹殺を意図する中国共産党による「同化政策」の一環であり、以前にはチベットやウイグルでも実行されてきた事である。

 中国当局は、2009年7月に新疆ウイグル自治区のウイグル人蜂起を武力で鎮圧して以降、ウイグル語教育を禁止している。そして今回、中国当局は、ウイグルと同様の同化政策を、内モンゴル自治区にも適用してきたのである。

 これにより、内モンゴル自治区内の小学校では語文(国語)、政治(道徳)、歴史の3教科が標準中国語で教えられることになり、中学校以上では全科目を全て標準中国語に統一されることになった。

 中国当局の論理としては、「先進的な科学技術や中国の思想を子供達に教える上で、モンゴル語は不向きであり、標準中国語こそがIT時代に相応しい」という事である。

 多様性の価値観がグローバルスタンダードとなっている現代世界において、特定の言語が「科学技術に適していない」などという詭弁を平然と展開できるのは、中国共産党くらいであろう。

 こうした動きに抗議する内モンゴル自治区の人々は、「モンゴル語を失えば、モンゴル民族は亡びる」と訴えている。言語抹殺による民族抹殺こそが、中国共産党の真の目的である。

 当初は学校現場のモンゴル人教師達の抗議から始まった運動は、やがて同化政策に抗議する内モンゴルの住民達による大規模デモへと拡大した。

 さらに数千人以上の生徒が授業をボイコットするなど、抗議運動は広がった。

 内モンゴル自治区の住民には、信教の自由も無い。中国で許されている仏教信仰は、共産党の中央統一戦線工作部の下にある中国仏教協会だけであり、それ以外の宗派は禁止されている。

 しかし、モンゴル人の間に広まっている仏教信仰は、ダライ・ラマ法王を最高指導者とするチベット仏教である。

 中国当局は、チベット仏教やダライ・ラマ法王との交流を厳しく禁じているが、中国国内のチベット人だけでなくモンゴル人も監視対象とされている。

 因みに、2016年にモンゴル国がダライ・ラマ法王の訪問を受け入れた際には、中国はモンゴル国からの輸入品に高関税を課すなどの経済制裁を行っている。

 モンゴル国の人口は約320万人であるのに対し、モンゴル国と国境を接する中国の内モンゴル自治区の人口は約2600万人であり、その内、モンゴル人住民が400万人を超え、「本国」であるモンゴル国の人口を上回っている。

 中国当局は、内モンゴル自治区とモンゴル国とのモンゴル人同士の情報共有や組織化を強く警戒しており、そうした動きを阻止する為、中国国内のモンゴル語SNSを閉鎖するなど、厳しい情報監視下に置いている。

 中国共産党の目標は、中華民族以外の少数民族の「抹殺」と中華民族への「同化」によって世界覇権を達成する事である。

 中華思想においては、日本民族も「東夷」の「少数民族」である為、いずれは中国共産党による同化政策の適用対象とされる可能性は十分ある。

 現在、チベットやウイグルや内モンゴルの人々の身の上に生じている事態は、決して他人事ではない事を肝に銘じる必要がある。



米シンクタンクが暴露する中国の対日工作


 7月23日、米ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、「日本における中国の影響力」と題する調査報告書を発表し、その中で自民党の二階俊博幹事長や安倍政権の今井尚哉首相補佐官の実名を挙げて、日本の媚中政策を厳しく批判した。

 米ホワイトハウスに絶大な影響力を持つシンクタンクから名指しで「日本政府の媚中派幹部を何とかしろ」と警告されていたにも関わらず、「第三次安倍内閣」と揶揄される菅新内閣が、親中派筆頭の二階派の全面支援を受けて成立した。

 対中全面対決姿勢の米トランプ政権は、日本で新たに成立した親中派政権に対し、今後様々な難題を吹っ掛けてくる事が予想される。

 CSISの上記報告書では、最近のドイツ・マーシャル基金の分析を引用し、中国が世界中で展開する戦術には、中国経済の武器化(取引の強制や制限)、物語的優位性の主張(プロパガンダと偽情報)、エリート仲介者の依存、在外華人の道具化、権威主義的支配の浸透などがあるとする。

 そして中国は、日本に対してもこうした工作を行い、表向きの外交から、個人的な接触などの機密、強制、腐敗(3C=Covert, Coercive, Corrupt)を用いているという。

 また同報告書は、日本の主要な安全保障上の懸念の一つとして、沖縄を「独立宣言」させる可能性を指摘し、中国は、米軍基地を擁する沖縄本島において、外交、ニセ情報、投資などを通じて、日本と米国の当局に対する不満を引き起こしていると指摘する。

 中国メディアの「環球時報」や「人民日報」は、日本による沖縄の主権を否定する論文をこれまで多数掲載している。

 中国に対しては、いくら警戒しても警戒し過ぎるという事はない。

 7月1日の香港国家安全法の成立以降、世界的に「脱中国」の動きが顕著になっている。

 米国では、7月にテキサス州ヒューストンの中国総領事館を閉鎖した。

 英国ではラーブ外相が、新疆ウイグル自治区での不妊手術の強制について「おぞましい人権侵害」と発言し、中国共産党を厳しく批判した。

 また前稿でも述べたチェコのビストルチル上院議長は、台湾を訪問した9月1日に「私は台湾市民である」と演説し、中国を牽制した。

 さらにこれまで親中と見做されてきたドイツでさえ、中国依存からの転換を表明し、9月8日に「新たなインド太平洋戦略」として日本など民主主義国との関係強化を打ち出した。

 このように自由世界の国々は、人権蹂躙国家の中国に対し、自らの立場と旗幟を鮮明にしつつある。

 菅新首相には、取り巻きの親中派勢力に惑わされる事なく、正しい見識を持って国政に取り組んでもらいたいものである。











《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




 定款(PDFファイル)




《連絡先

一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
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TEL: 03-5501-3413