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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













ポスト・コロナの世界支配を目指す中国


「自由な世界」から「抑圧の世界」へ


[2020.5.15]




中国の海洋覇権主義を象徴する空母「遼寧」
PHOTO(C)Gettyimages



対中国シフトの軍事戦略へと転換した米国


 中国は、世界中がコロナ危機への対応に追われている隙に、世界支配の実現に向けて着々と行動を展開している。

 コロナ危機の只中にあっても、中国艦艇による尖閣諸島周辺海域への侵入は減少するどころか、我が国の領海内に侵入して操業中の日本漁船に接近・追尾したり、空母「遼寧」や軍用機が宮古水道を往復するなど、日本の領海と領空への侵犯を繰り返している。

 また台湾に対しては、空母「遼寧」がバシー海峡を通過したり、空軍の軍事演習の頻度が増えるなど、台湾への威嚇や軍事的圧力を強めている。

 さらに南シナ海では、周辺諸国と領有権を巡って係争中の島々に対し、新たな行政区を一方的に設定し、事実上の不法占領を強行している。

 南シナ海の支配については、一般的には海洋石油・ガス探査が目的と言われているが、中国の真の目的は、南シナ海へのSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載の原子力潜水艦の配備である。戦略核の標的は、言うまでもなく米国本土である。

 米国のマーク・エスパー国防長官は、2020年2月の下院軍事委員会公聴会で、「米国にとっては中国こそが軍事面・防衛面で最大の挑戦者として対峙する相手である」と発言した。

 このエスパー国防長官の議会発言は、2018年10月のペンス演説に次ぐ重要な意味を持ち、米国が軍事面においても中国と全面対決する方針を表明したものである。

 現在、エスパー国防長官の下で米軍再編が進められているが、今後の米国の軍事戦略は、主敵を中国に設定したインド洋・太平洋戦略重視へと転換する。

 具体的には、インド洋・太平洋地域において、米国がより強力な軍事力を展開し、日本、オーストラリア、台湾、インド、ベトナムといった国々と共に、中国を包囲し封じ込めようとする戦略である。



中国共産党の下部組織と化した国際連合


 冷戦終結後の世界の「グローバル化」は、イデオロギー的には、国際社会における自由主義の普遍化であった。

 1990年代から2000年代にかけて生じた「グローバル化」の中で、地球的課題は国際会議において解決し、国際問題は国際法に則って解決するという国際的な合意形成が世界的に受け入れられるようになり、常設の国際機関が重要な地位を担うようになっていった。

 そうした中、中国は「グローバル化」の仮面を被りながら、共産党独裁のまま、虎視眈々と勢力を拡大し、その支援を受けた国々を中国の傘下に従えつつ、国連をはじめ国際機関の支配に乗り出してきたのであった。

 ホワイトハウス国家通商会議トップのピーター・ナバロ氏は、
「中国は植民政策を用いて、賄賂その他の方法で国連内部の組織をコントロールしようとしている。これはアメリカと全世界に対する大きな破壊行為だ」
「過去十年間、中国は絶えず積極的に行動し、中国共産党の人員を指導的ポストに就かせることで国際機関をコントロールしようと試みてきた。中国はすでに国連の15の専門機関の内の5つをコントロールしている」
と述べている。

 事実、国連の15の専門機関の中、4つのトップが中国共産党の人員によって占められている。

 内訳は、国際連合食糧農業機関(FAO)の屈冬玉・事務局長、国際連合工業開発機関(UNIDO)の李勇・事務局長、国際電気通信連合(ITU)の趙厚麟・事務局長、国際民間航空機関(ICAO)の柳芳・事務局長の4人である。

 また中国のコントロール下にあるのが、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長である。

 コロナ感染初動期において、中国当局の無作為と隠蔽により世界中で多くの人命が失われたにも関わらず、テドロス事務局長は、中国当局の対応を批判するどころか、「模範的」などと絶賛したのであった。

 上述のナバロ氏は、「中国がWHOをコントロールした結果、計り知れないダメージを被った。彼らは人々の間の情報交換を阻害し、伝染病であると認めなかった。そして感染が拡大しても彼らは旅行禁止令に消極的だった。これは私が見てきた中で最も重大な事件の一つだ」と語っている。

 さらに、世界中がコロナ危機で混乱している最中の4月8日、国連人権理事会のポストに中国共産党の外交代表が選ばれた。

 これについて、フランス紙「ル・フィガロ」は、「国連が中国共産党主導の強権的政府に国際的な人権基準を制定させ、世界中の人権情況を管理させる事は道理に適わないし倫理にも悖る。これは放火犯を都市の消防署長に任命するようなものだ」と論じている。

 国連人権理事会が中国共産党に支配されている実態を暴いたのが、国連職員のエマ・レイリー氏である。

 昨年末、レイリー氏は、スイスの国連人権理事会事務局が中国共産党に人権活動家のリストと情報を提供している事実を暴露した。

 国連職員として国連の内情に精通しているレイリー氏は、2013年にも、米国の上席外交官と国会議員に宛てた手紙で、国連人権高等弁務官事務所が継続的に中国共産党に情報提供をしており、ジュネーヴで行われる会議に参加する人権活動家の名前を提供している事を明かしていた。

 今や国連は、中国国内の人権活動家の弾圧に加担し、中国共産党に奉仕する機関に成り下がったのである。

 また国連事務局は、オンライン会議等のシステム構築を進めているが、それを担当しているのは、中国最大手の監視ソフトメーカーであるテンセント社である。中国が、ファーウェイ社やテンセント社をはじめとした中国系ハイテク企業を使って、全世界の通信網の支配とコントロールを企んでいる事は周知の事実である。

 国連以外でも、国際組織の重要ポストを占める中国共産党幹部は数多くいる。

 世界銀行(World Bank Group)の楊少林・初代常務副総裁兼最高総務責任者(CAO)、世界貿易機関(WTO)の易小淮・副総裁、国際通貨基金(IMF)の林建海・事務局長および張濤・副総裁、世界知的所有権機関(WIPO)の王彬穎・副事務局長、世界気象機関(WMO)の張文建・副事務局長、等々である。

 このように、今や世界を動かす様々な国際組織が中国の支配下に置かれている。

「中国は米国なしでもやっていけるが、世界は中国なしではやっていけない」などと揶揄されるようになった現代、「世界の中国化」は着実に進行しつつある。

 2049年までに世界征服を目指す中国共産党にとって、国連や各種の国際機関は、「世界支配の道具」として重要な標的なのである。

 本来、リベラルで民主的な思想に基づいてその役割を果たす事が期待されていた国連や国際機関は、今や一党独裁・覇権主義の下僕と化している。

 かくしてこの地球は、「自由な世界」から「抑圧の世界」へと変貌を遂げつつある。



対中制裁に向けた国際的ムーブメント


 そうした中にあっても、自由主義の伝統を守り続けてきた米国の人々は、様々な行動を開始している。

 コロナウイルスによって最も大きな打撃と損害を被っているのは米国である。米国内の感染者数は130万人を超え、死亡者数は8万人に及び、いずれも世界最多である。

 そこでホワイトハウスは、中国当局が意図的に情報の隠蔽偽装工作を行うことで被害を拡大させた実態の解明に本格的に乗り出しており、結論次第では、中国に対して損害賠償を請求し、あるいは報復関税を課すべく動き始めている。

 一方、米議会でも中国に対する報復措置を検討する動きがあり、中国を制裁し責任を追及する為の一連の法案が、すでに米上下両院の議員達により提出されている。

 下院監視委員会のジム・ジョーダン副委員長は、「新型コロナウイルス発生初期の中国当局の隠蔽工作は、米国と世界に計り知れない影響を与えた」と述べ、「米国民の為に、我々は中国当局に責任を問うとともに、中国がこれ以上わが国に害を及ぼすことを防ぐべきだ」と強い警戒感を示している。

 また米国の前国連大使ニッキー・ヘイリー氏が設立した団体「スタンド・フォー・アメリカ」(Stand For America)は、4月23日、「Stop 共産中国」(Stop Communist China)の請願活動を立ち上げ、全世界で影響力を拡大する中国当局の活動について調査するよう議会に訴えた。請願書は、中国政府がコロナウイルス感染発生の情報を公開するように米議会が圧力をかけるべきだと主張し、また台湾のWHO加盟を支持するよう議会に呼びかけた。さらに請願書は、中国当局による米国の学術界への浸透工作に懸念を示し、「中国から資金を受け取った米国内の大学は情報を公開すべきだ」と述べている。

 このように米国では官民一体となって、「反中国」「対中制裁」のムーブメントが拡大している。

 こうした「反中国」「対中制裁」の運動は、本来ならば我が国が率先して実践すべき事であった。米国でコロナ感染が確認される前から、横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」では多数の日本人が感染していたのである。

 コロナ危機のおかげで習近平訪日は中止となったが、世界の趨勢が「反中国」に向かう中、中国に対して未練がましく秋波を送り続ける安倍政権には、米国も呆れ返っていることだろう。トランプ大統領が最近は日本に冷淡な対応になっているのも当然である。

 米中新冷戦は2018年からすでに始まっているが、今回のコロナ危機によって両陣営の対立が今後一層激化する事は間違いない。

 国連や国際機関への幻想の崩壊に伴って、「グローバル化」の潮流は大きく後退し、今後各国は自国中心主義へと回帰することになるだろう。

 コロナウイルス問題は、決してうやむやの内に終息させてはならず、真相と原因の追及が絶対的に必要である。

 国際的な共同調査の結果、ウイルス発生源やパンデミックに関する中国側の責任が明らかになれば、我が国は断固たる態度で中国に対し損害賠償を請求すると共に、中国共産党指導者を問責にかける必要がある。

 これはウイルス感染被害の問題を超えて、世界の自由を守る為に必要不可欠な行動なのである。











《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




 定款(PDFファイル)




《連絡先

一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
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TEL: 03-5501-3413