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 理事長プロフィール





FMラジオ番組
「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













韓半島情勢の読み方


─ 軍産複合体の謀略に乗るな ─


[2017.4.30]




PHOTO(C) TIME
韓半島に向かう米原子力空母カール・ビンソン



風雲急を告げる韓半島情勢



 韓半島情勢は日を追うごとに緊迫の度合いを強めている。

 とりわけこの4月、太陽節や建軍85周年などの記念行事に沸く北朝鮮は、国民の団結を呼びかけて対米開戦の機運を煽り、弾道ミサイルの発射実験などの挑発を繰り返し、6度目の核実験も準備している。

 またトランプ米政権は、制裁強化に加えて、原子力空母「カールビンソン」および約150発の巡航ミサイルを搭載した原子力潜水艦「ミシガン」など第7艦隊の主力を韓半島に向けて派遣し、軍事力の行使も否定しない姿勢を示している。

 一見すれば、開戦前夜かと思われる情勢ではあるが、表面上の挑発行為とは裏腹に、米国も北朝鮮も開戦は決して望んでいないという事情がある。

 双方にとって開戦は最悪の選択である。

 万一開戦すれば北朝鮮の体制が維持できる可能性が無い事は、金正恩委員長は百も承知である。

 また米国としても、北朝鮮に対して戦争を仕掛ける大義名分が全く存在せず、国際的孤立化を深めるばかりである。

 もともと公海上の弾道実験は国際法に抵触しないし、NPTから脱退した北朝鮮が核実験をやっても国際法違反にはならない。シリアのように国際的に禁止されているサリンを使用したわけでもない。

 韓半島における危機的状況を演出しているのは、米政府当局ではなく、米国の軍産複合体である。

 一方、トランプ大統領は、選挙公約において、一貫して「軍産複合体の解体」を唱えてきた。

 軍産複合体は、今や国家を超える力を有し、世界の言論をも支配する大勢力を形成している。

 国際連合をはじめとした国際諸機関や主要マスメディアも、軍産複合体の一部を構成している。

 通常兵器を世界各国に高値で売り付ける事によって肥大化し続けてきた軍産複合体にとって、最も理想的な世界とは、核兵器が出現する以前の世界、すなわち「戦争が通常兵器のみによって際限なく行われる世界」である。

 第二次大戦後の世界のように、核抑止力によって世界的な大戦争が発生しない状態は、軍産複合体にとっては武器が売れず、商売にならないのである。

 そのため第二次大戦後の軍産複合体は、局地戦やゲリラ戦を世界各地で引き起こすことによって増収増益を図ってきた。

 ベトナム戦争の際には「通常戦力の逐次投入」という誤った戦略を確信犯的に米軍当局に実践させ、莫大な利益を得た。

 さらにベトナム戦争終結後は、国際機関を通じてNPTを推進し、国際世論を「反核」に向けて誘導し、「核抑止力による平和」の概念を否定することによって、通常兵器の際限なき需要を創出し、暴利を貪ってきた。



トランプと軍産複合体との確執


 「核抑止力による平和」を否定する軍産複合体の傀儡政権であったクリントンからオバマに至る歴代のアメリカ大統領は、約四半世紀にわたり、北朝鮮の核開発に対して強硬に抗議を続けてきた。

 その最大の理由はこうである。

「北朝鮮が核兵器開発技術を保有した場合、北朝鮮の同盟国であるイランやシリアも核保有国になる。そうなれば、米国は中東において、従来のように通常兵器による恣意的な攻撃が出来なくなってしまう」

 これまで中東で好き勝手に戦争を引き起こして巨大な利益を得てきた軍産複合体にとっては、「中東の平和」などあってはならない事である。このように、北朝鮮の核保有によって最も困るのは軍産複合体なのである。

 因みに軍産複合体は、北朝鮮の核を口実にしさえすれば、日本や韓国などの周辺諸国に対して通常兵器を高値で売り付ける事が出来る。

 ただし、F22戦闘機のような高性能の兵器は決して日本には売ってくれない。「旧敵国」である日本には、有事の際に使い物にならないような通常兵器ばかりを高値で売り付けるだけである。日本が超高値で買わされた迎撃ミサイルSM3およびPAC3が、実戦においては全く役に立たない事は、軍事専門家の間では常識である。

 どちらに転んでも、危機を巧妙に演出しながら大きな利益を得るのが、軍産複合体の常套手段なのである。

 一方、トランプ大統領は軍産複合体からの支援を一切受けず、「軍産複合体の解体」を公約にしている唯一の米大統領である。

「日本や韓国は核武装するべきだ」という選挙期間中のトランプ発言は、軍産複合体に対する宣戦布告でもあった。

 トランプ大統領は、今後、中国に対し北朝鮮への禁輸措置や経済制裁を実行させ、中国と北朝鮮との関係を最悪の対立状態にさせた上で、米国が北朝鮮と和解するシナリオを想定しているものと考えられる。

 その際は、米朝和解の条件として、米国は北朝鮮の核保有を容認し、現体制への不介入と不可侵を約束することになるであろう。

 ペンス米副大統領が表明した「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」というのは、こうした「落としどころ」を考慮したものと見られる。

 金正恩委員長にとってはあくまで「現体制の維持存続」が至上命題であり、トランプ大統領にとっては自国第一主義に基づく「全世界からの米軍の撤収」が真意である。

 つまり、北朝鮮も米国も、国家のトップは全く戦争を望んでいない。

 唯一戦争を望んでいるのは、国連やマスコミを含む軍産複合体だけである。

 トランプ大統領の理論的支柱でありNSCのメンバーでもあったバノン氏が解任された直後、シリアに対する通常兵器による爆撃が行われたことは、政権内でトランプ大統領が窮地に追い込まれている事態を示している。

 もしも韓半島において不測の事態による開戦があり得るとすれば、それを仕掛けるのは軍産複合体であることを忘れてはならない。














《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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