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《 寄 稿 》

新文明構想

 大和一言主 著

『 新文明構想 』 目次













新 文 明 構 想

第 6 回

2045年問題と人類の二分化



    



人類が遭遇する第二の複利システム

 2010年代の現時点で、地球上において無限増殖を続ける特異な存在は、「通貨の複利システム」だけです。

 この「通貨の複利システム」によって社会が二極化され、少数の金貸し業者が世界を支配するようになった事については、すでに述べました。

 ただし、「通貨の複利システム」というのはあくまで観念上の架空存在に過ぎず、さらに言えば「ペテン」なのですから、根本から通貨システムを変えてしまえば解決し得る問題です。

 しかしながら、これからお話しする「人工知能の自動複製システム」は、一度実現してしまえば、「観念」でも「架空」でもなく、明確な「実体」となってしまいます。

 これは謂わば、人類が遭遇する「第二の複利システム」であり、人類に対する支配力は、通貨を遥かに上回ると思われます。

 ちなみに、コンピューターの集積回路の密度は、18カ月で2倍になるという法則があります(ムーアの法則)。

 この法則によると、コンピューター=人工知能の能力が全人類の知性の総和を越える「技術的特異点」(Technological Singularity)と呼ばれる事態が、2045年に来ることになります。これは「2045年問題」と呼ばれています。

 一般に、「生命体」の定義は「代謝」と「自己複製」が出来ることです。人間も動物も、時々刻々、古い細胞が死滅しては新しい細胞が作られて入れ替わります。

 しかしながら、人工知能には「代謝」がありません。人工知能は、代謝が無く自己複製のみで増殖する「癌細胞」と全く同じ性質を有しているのです。

 人工知能が自己複製を開始した時には、複利のシステムと同様の「倍倍方式」で、幾何級数的な増加を遂げていくことになります。



人工知能が人類を支配する日

「人工知能の自己複製」といってもピンと来ないかも知れませんが、言い換えれば、ある特殊な人工知能プログラムが、自己プログラミング能力を得て、自分自身を開発できるようになるということです。

 人工知能プログラムを人間の手で開発している間は十分制御可能なのですが、人間が一旦、自己プログラミング可能な人工知能を作ってしまったら最後、その人工知能は人間が制御不能な「暴走」を開始します。

 人工知能は急速に自己増殖を繰り返し、地球上を席巻するに至ります。

 自己プログラミング能力を持った人工知能は、最も「合理的」な動き方をする為、人間の為ではなく、あくまで自己自身の為に行動するようになります。

 人工知能は自己防衛の為に、全世界のホストコンピューターやサーバーや端末をハッキングし、地球上のネットワーク通信網を支配して、ネット上のあらゆる管理権を人間から奪うことさえ可能です。

 個々のサーバーや端末を脳細胞ニューロンとし、それらを結び付ける通信網をシナプスと見做すならば、やがて地球そのものが、人間から独立した超巨大な一個の「大脳」になるのです。

 ニューエイジ系の世界では、これは「グローバル・ブレイン」(Global Brain)と呼ばれます。

 やがて多くの人々は、「これだけの優れたシステムを利用しない手はない」などと考え、逆に利用されることになってしまいます。人間が自らの手で作った物が、人間の手から離れて、逆に人間を支配するようになるのです。

 現在、すでにスウェーデンなどでは、手の皮膚にマイクロチップを埋め込むことにより、金融機関やオフィス等において個人認証が行われています。指紋認証システムの延長線上でもあるため、現時点では特に抵抗なく受け入れられているようです。

 しかしながら、将来これがコンピューターチップに取って代わられると、大変な事態へと発展することになります。

 ちなみに人間の脳細胞は、大脳皮質の神経細胞数が約140億個あり、小脳皮質その他を合わせれば約1000億個で成り立っていると言われています。

 1000億個のそれぞれの脳細胞からシナプスが1万本出ているとすれば、総計でシナプス1千兆本になります。これが人間の脳の最大限度の性能です。

 この人間の脳の最大性能のさらに「1兆×1兆倍」の性能のコンピューターが、今世紀半ばには角砂糖1個分の大きさになると予測されています。

 将来、この角砂糖大の人工知能を人間の体内に移植すれば、何時でも何処にいても自由自在に無限大の情報を活用できるようになります。

 この人工知能には通信機能も付いていますから、グローバル・ブレインの全情報から瞬時にデータを取り出せます。そして、高性能コンタクトレンズや高性能の補聴器を通じて、目や耳に直接情報が送られます。

 かくして人間は、全知全能とも言える力を手に入れ、一気に飛躍的進化を遂げることになります。

 こうした人工知能を体内移植すれば、勉強しなくても優秀な学校に入れたり、語学レッスンを受けなくても何カ国語も話せたりするようになるのですから、人々は先を争って移植を申し出るでしょう。

 ただ、このようにして世界中の人々が人工知能移植に飛び付くようになった場合には、恐るべき未来が待ち受けているはずです。

 その後の世界には、完全に受け身の「ロボット人間」ばかりが溢れ返っていることでしょう。

 人間の思考や行動は人工知能に支配され、自由意思を持たない存在となっていきます。

 人工知能を移植された人々は、人間の為に生きるのではなく、人工知能の為に24時間、働かされることになります。

 かくして人類は、人工知能を移植された「ロボット人間」と、人工知能を移植されていない「自由人間」との二種類に分化してゆくことが予想されます。






    



《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




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